プロジェクト事例 PROJECTS

【Interview】『天神かっぱの泉』に誕生した“巨大たまご”の生みの親に聞く、チームの必要性と協業で広がる可能性

天神地下街のシンボル『天神かっぱの泉』リニューアルに伴うモニュメント制作案件。

メンバーインタビュー

メンバー間の交流から受発注に。
積極的なコミュニケーションで築いた信頼関係が生み出した仕事のカタチ

  • 株式会社Zero-Ten
    テクニカルディレクター

    森 直樹(もり・なおき)

    福岡を拠点に、映像制作やプロジェクションマッピング、舞台演出等を行うクリエイティブカンパニー・Zero-Ten(ゼロテン)にてテクニカルディレクターを務める。美術館での3D映像演出、商業施設における企画設営など幅広く従事している。

  • 有限会社デザイン見聞録
    代表取締役

    細川 文太(ほそかわ・ぶんた)

    商業建築のディレクションやプロデュースなど、デザインと設計・施工・監理までワンストップで行う。商空間や店舗、オフィスでデザイン・設計だけでなく、看板や家具・照明・屋外広告など施工事例は多数。

外部との縦割りではなく横並びのチームへ

― 森さんと細川さんはザ・カンパニーに入居する以前より繋がりがあったと伺いました。

そうですね。2011年にプロジェクションマッピングの現場でお会いしたのがきっかけです。映像を投影する対象物を制作していたのがデザイン見聞録の細川さんでした。
細川
そうでしたね!懐かしい。

― 細川さんがザ・カンパニーに入居されたきっかけは?

細川
私たちの仕事はプロジェクト単位で仕事が発生するんですが、縦割りのチームよりも横に繋がる体制づくりにすごく魅力を感じていて。私自身チームを作る上で大事にしていることが、「少数精鋭」で「仕事を自分ごとにできる」 メンバーを揃えること。私たちの働き方とチームの在り方も多彩になってきたところで、ザ・カンパニーというシェアオフィスができると聞いて。外部のプロフェッショナルな方々とチームを組むことで仕事の質が変わることはすでに実感していたので、入居を決めました。
私たちも同じオフィス内で作業することが多いので、すぐ近くに相談できる仲間や協力会社さんがいてくれるのはすごく助かっています。クライアントからの細かい要望もすぐに対応できたりしますし。あと、商空間の仕事が多いので、オフィス空間を利用して提案内容について実証したりすることもあります。

― 実際に入居してみていかがですか?

細川
会社は南区にあるんですが交通の便が少し悪くて。東京や大阪のクライアントが来福した際、ザ・カンパニーを利用すれば博多や天神で打ち合わせができるので助かっています。会社の中ではなく、すっきりとデザインされたシェアオフィスでの商談の方が外部の反応も良く、個人的にも気に入っています。

協力がなければ実現しなかった『天神かっぱの泉』リニューアルプロジェクト

― 2018年にリニューアルした『天神かっぱの泉』。天神地下街で長く親しまれてきたシンボルに“巨大たまご”が突如誕生したことで話題に。このプロジェクトのきっかけについて教えてください。

福岡パルコの新館5Fに「The Company」が出店したのが2017年12月。この出店を機に、リニューアルに関して一緒にコラボレーションできないかとご相談を受けたのがきっかけです。福岡パルコが掲げている「街づくり」「インキュベーション」「情報発信」を テーマに「パルコから新たなカルチャーが生まれる」ことを表現するため、「たまご(孵化のイメージ)」型のモニュメントをご提案しました。
細川
最初に「たまご型のモニュメントを作りたい」と聞いた時にはびっくりしましたね。とんでもないことを言い出したなって。
製作期間も限られている中、どうやって形にしていくかを考えたときに1社では納まらない仕事だったんです。そこで細川さんに相談して。
細川
ゼロテンとは他のプロジェクトでも色々一緒にやってきていたので、本当にやる!っていうならやるぞ、という気持ちで挑むことに決めました。

― このプロジェクトで一番困難だった点は?

細川
まず、成形ですね。球体の中でも法則性のある楕円だったら作るのは簡単なんですが、たまご型って自然の摂理によって生み出された不思議な曲線なんです。それを形にすることがまず難しかったです。あと今回は常設なので、どういった構造タイプなら天井から吊り下げることができ、形も保持できるのか、とか。
さらに、“たまご”への映像演出によるインスタレーションを予定していて、球体に全方向投影しようと。これがまた大変でしたね。
細川
多くの懸念点をひとつひとつ解決していかなきゃいけなかった。結構衝突もしましたよね。
どうしてもやりあわなきゃいけない部分もありましたね。お互いの専門知識を持ち寄りながら、ああだこうだと話し合いを積み重ねないといいものってできないし。今回の現場の場合、シェアオフィスから一緒に現場に移動して、その後またオフィスに戻って打ち合わせをして、っていうのがスムーズにできたので進めやすかったです。

「もっと」を実現するためには専門知識を持ったメンバーとチームが必要

― 今後のザ・カンパニーに期待すること、もしくは協業したいメンバーのイメージがあれば教えてください。

細川
商業建築は、世の中のトレンドや世論と融合していく要素が大きくて。これまでは新しいものをスクラップ&ビルドしていくのが主流でしたが、既存のカタチを活かしていかにリビルドしていくかが大切になってくると感じています。その価値観を共感しながら協業でき、私たちが持っていない知識や新鮮なマインドを持った方々と横並びで一緒にお仕事をしたいですね。
まだ実現はしていないけど取り組んでみたいアイデアがたくさんあるんです。ただ、それにはチームが必要なんですよね。私も若くはないので、1人で多くのパートを抱えられないし、能力的にもより専門知識を持った方が入居してくれるともっと表現もプロジェクトの可能性も広がると思います。チームが増えれば、刺激やインスピレーションも増え、世の中があっと驚くような面白いものを作ることができるーーエンターテインメントにおいて特に大事なことだと思うので、もっと一緒に働く人が増えていくと嬉しいです。